雑誌 特集

ビデオ・カメラ,子離れのすすめ

久米 秀尚,大槻 智洋=日経エレクトロニクス
2010/05/28 09:00
 

第1部<環境変化>
“パパ・ママ”専用機からの脱却
多様化への対応で生き残り

ビデオ・カメラ業界に地殻変動が起きている。震源地は,消費者ニーズの激変だ。定番だった「子供の成長記録」は,もはや動画の一用途でしかない。

ビデオ・カメラにも低価格化の波

 「Flip Videoのことを,正直甘く見ていた」──。ある日本メーカーのビデオ・カメラ商品企画担当者は,こう胸の内を吐露する。この言葉は,ほんの数年前まで市場を席巻し,高収益を上げていた,日本のビデオ・カメラ・メーカーに共通の思いだ。

 Flip Videoとは,米国のベンチャー企業であるPure Digital Technologies,Inc.(現米Cisco Systems, Inc.)が開発し,2007年に投入を開始したビデオ・カメラのことだ。小型・軽量で,とにかく安い。機種にもよるが,200米ドルを切るものがほとんど。これに対して,日本メーカーが市場をほぼ独占するビデオ・カメラの価格帯は5万~7万円である。

 2009年末,Flip Videoの勢いを証明する出来事が米国で起こった。1年で最大の消費が期待できるクリスマス商戦において,ビデオ・カメラの商品別販売シェアで一時的に「50%を超えた」(業界関係者)のである。

 “ポケット・ムービー”ともいわれるこの低価格ビデオ・カメラが,業界にかつてないほど大きな地殻変動をもたらしている。これまで静観を決め込んでいた日本メーカーも,さすがにこの勢いを無視できない。「伝統的なビデオ・カメラと比べて,相対的に低価格品の販売比率が増えているのは認識している」(ある国内メーカーのビデオ・カメラ事業部長)。

 これまで国内メーカーが心血を注いできたビデオ・カメラとはまったくアプローチが異なるこの低価格機を,市場は歓迎している。

 低価格化の波は,すさまじい破壊力でビデオ・カメラ市場を飲み込むことだろう(図)。それはかつてカーナビやノート・パソコンで起きたことを思い出すと分かりやすい。低価格の簡易版が登場してわずか数年で市場を席巻してしまうのだ。

『日経エレクトロニクス』2010年5月31日号より一部掲載

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先進動画ユーザーに聞く

動画の作り方,そして楽しみ方はWebサービスの普及とともに多様化している。かつてはプロにしかできなかった“生中継”も一般ユーザーの表現手段になった。今後の商品企画のヒントは,最新事例が教えてくれる。

第2部<解決策>
時代とニーズにはこう向き合う
水平分業に備えるべし

日本のビデオ・カメラ・メーカーの前途は多難だ。しかし,道はある。商品や開発体制を時代とニーズの変化に合わせること。そして,動画撮影機器の新市場をつくり出すことである。

ビデオ・カメラの役割と問題点

 日本のビデオ・カメラ・メーカーを取り巻く環境は激変した。もはや,新たな環境への適応にもたついていれば,「自分の雇用すら危うくなることは目に見えている」(日本メーカーの商品企画担当者)。

 環境適応で重要なことは,大きく二つある。一つは,新しい環境に適さない商品企画や開発体制をあぶり出し,変えること。もう一つは,それらを実行しつつ挑戦的な新商品を投入し続けることである。

“子供撮りだけ”は時代遅れ

 第1部で述べたように動画の楽しみ方は,動画共有サイトの普及やフラッシュ・メモリの低価格化によって,大きく変わっている。それにもかかわらず,日本のビデオ・カメラ・メーカーは「我が子の姿を録画するための商品ばかりを販売している」(海外のビデオ・カメラ・メーカーの商品企画担当者)。これは,日本メーカーが動画を撮る四つの目的のうち,一つしか相手にしていないことを意味する。

『日経エレクトロニクス』2010年5月31日号より一部掲載

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