EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)の駆動用モータは、低速回転域から高速回転域まで高効率で駆動する必要がある。安川電機は、モータの巻線を切り替えることで広い回転域でモータを高効率に動かせる「QMET(クメット)ドライブ」を開発した。マツダ向けに実用化したのをはじめとして、今後はEV向けの汎用モータとして事業化を計画する。

 安川電機は、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)向けの駆動用モータシステム「QMETドライブ」を開発・実用化した(図)。モータの回転数に応じて、電流を流す巻線を変える技術「QMET」(Qualified Magneto-Electronic Transmission)を採用するのが特徴。常に90%以上の効率を維持できる。
 従来のモータは、運転範囲の中で、あるトルクと速度(回転数)で効率が最高になる点が存在し、その点から離れるにつれて次第に効率も低下する。低速回転で高効率を得る設計をした場合、高速回転では効率が著しく低下してしまうという課題があった。
 巻線を切り替えるモータであれば、高速回転でも効率を高く維持できる。EVやHEVでは、搭載する2次電池の容量を抑えつつ、航続距離を確保できることになる。
 新開発の駆動用モータドライブシステムは、マツダが2009年にリース販売を開始したシリーズHEV「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」で初めて採用された。当社はQMET技術を展開し、2010年に出力が異なる3種類のEV向け汎用モータを開発した。

以下,『日経Automotive Technology』2010年7月号に掲載
図 駆動用モータシステム「QMETドライブ」
半導体スイッチで駆動用モータの巻線を切り替える「QMET」技術を適用する。(a)駆動用モータ、(b)インバータ。