国内ではトラック・バス用を唯一手がけ、乗用車用から建設機械用まで幅広くホイールを供給するトピー工業。ホイール軽量化の歴史と、軽量性と意匠性を両立させた商品の開発など今後の動向を聞いた。

 鋼製ホイールは19 世紀に登場した。1886年にKarl Benz氏が発明した世界初のガソリン自動車には、すでに鋼製のリムとスポークを持つワイヤホイールが装着されている。1920年代にはアルミニウム合金製ホイールも登場したが、本格的に普及するのはバネ下質量の低減が重視されるようになる1950年以降のことだ。
 アルミやマグシウム合金などの軽量なホイールの採用が進む一方、軽量化と低コスト化を進めてきた鋼製ホイールは、コストを重視する小型車などでは今でも主流である。今回は乗用車用から建設機械用まで幅広くホイールを供給するトピー工業の綾瀬事業所を訪れ、鋼製ホイールの技術進化を探った。
 本論に入る前に、鋼製ホイールの製造工程をおさらいする。まず、リムとディスクは別々に成形する。リムは円周の長さに合わせてコイル材を切断し、円形になるように溶接した後、ロール成形する。ディスクは、約10工程のプレス加工により成形し、リムにディスクをかん合してCO2溶接する(図)。
 その後、下地となる電着塗装を施し、上塗り塗装した後、回転バランスを計測して振れ幅が最も小さい部分に位相マークを付ける。この部分とタイヤの振れ幅の最も大きい部分を合わせて組むことでタイヤのバランスを最適化することができる。

以下,『日経Automotive Technology』2010年7月号に掲載
図 鋼製ホイールの製造工程
コイル材を切断して溶接後ロール成形したリムと、トランスファプレスにより成形したディスクをかん合させ、溶接する。その後、振れや空気漏れを検査し、塗装。円周方向の振れ幅が最も小さい部分に位相マークを付ける。
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