環境対応車の普及を推進する中国政府の政策に後押しされ、中国の自動車メーカーも一斉にハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の開発に走り始めた。2010年4月23日に開幕した第11回北京モーターショー(AutoChina2010)は、こうした技術開発の、格好の披露の場となった。

図 北京モーターショーの会場となった中国国際展覧中心(天竺)新館
展示面積は20万m2と、2009年の東京モーターショーの9倍近くに達する。

 「暢想緑色未来(グリーンな未来に思いをはせよう)」。こんなキャッチフレーズで開催された今回の北京モーターショー(図)。中国ではHEVやEVといった環境対応車を「新能源車(新エネルギー車の意味)」と呼ぶ。今回のショーでは、多くのメーカーが「新能源車コーナー」を設け、技術開発に取り組む姿勢をアピールした。
 もっとも、各社の出展車両を見ると、まだ商品としての水準に達していないものがほとんど。消費者の関心も、高級車やスポーツカーに集中し、環境対応車への関心は、まだあまり高くないことがうかがえた。
 各社が様々なEVを出展するなかで、ユニークなコンセプトだったのが中国吉利汽車が出展した「IG」。全長3170mm、全幅1700mm、全高1490mm、ホイールベース2100mmの小型車。2009年の上海モーターショーでは片側だけガルウイングドアを備えた、乗車定員が2+1のコンセプトカーとして出展されていたが、今回のショーでは両側にガルウイングドアを備え、乗車定員を2+2としたタイプに改めた。フロントフードに太陽電池を搭載するのは、上海ショーのモデルと同じ。2012年に商品化するという。

以下,『日経Automotive Technology』2010年7月号に掲載