スーパーなどで買い物をする際、レジ袋をもらうのではなく自前の買い物袋を持参する消費者が増えている。レジ袋の多くはただなのに、あえて、自分で作ったり購入したりしたマイバッグを持参するのは、環境に配慮するという意思表明でもある。つまり「エコ」を重視しているわけで、最近はこれをエコバッグという。持って歩くだけでカッコいい感じだが、エコバッグをはじめとして、エコが一つのファッションにもなっているようだ。

 さて、このエコバッグが土木建設の業界にも現れた。いや、エコバッグと呼んでいるのは筆者だけだが、開発の鉄人的表現としてはこれをエコバッグといわずに何という。それほどエコで、性能もスグレモノのバッグなのだ。

 正式名称は「D・Box」という。もともとは名古屋工業大学名誉教授の松岡元氏が考案した地盤補強方法(土のう一体化工法)で使用する土のうを発展させたものである。

 土のうというと、洪水のときや、災害復旧のための仮設工事で見掛けるものというイメージが一般には強いだろう。この土のうを、軟弱地盤を強化したり、超軟弱地盤の上に構造物を設置するときに発生する有害な沈下、いわゆる不同沈下を解消したりするために使用するのが、前述の土のう一体化工法だ。

〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立、代表取締役に。現在、40数社の顧問、日本知的財産戦略協議会理事長、宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー、日本特許情報機構理事、金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。