ミラーレス機は今や,カメラ開発の主戦場になった。最近開催された「PMA」と「CP+」では,ソニーは2010年内のミラーレス機の発売を表明し,先行するパナソニックはミラーレス機の中核技術を説明した。

ソニーのモックアップ,パナソニック「DMC-G2」,オリンパス「E-PL1」

 カメラの3大展示会のうちの二つが,日米で相次いで開催された。米国カリフォルニア州アナハイムで2010年2月21~23日に開かれた「PMA」と,横浜で2010年3月11~14日に催された「CP+」である。

 これらの展示会は,「ミラーレス機時代」の到来を象徴していた。ソニーはついに,フルHD動画に対応したミラーレス機を2010年中に発売すると明言し,モックアップを公開した(写真左・上下)。撮像素子は韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のミラーレス機と同様,APS-Cサイズである。

 ソニーの発表の少し前から,海外の消費者はミラーレス機に関心を持ち始めていた。ドイツGfK Retail and Technology社によると,2009年12月に英国で販売されたレンズ交換機の10台に1台以上がミラーレス機の一つ,マイクロフォーサーズ機だった。

 一般に,英国を含めた欧州の消費者は保守的だ。「東アジアの人々のように新商品に飛び付かず,静観する傾向がある」(パナソニックの商品企画担当者)。しかし,既に消費者は動きだしている。ソニーの決断は,一眼レフ信仰の崩壊を加速するだろう。カメラ業界では,かねてウワサされるニコンのミラーレス機がいつ登場するかに,関心が集まっている。

タッチ・パネルに驚き

 ミラーレス機の市場投入で先行したマイクロフォーサーズ陣営(パナソニックとオリンパス)は,そのリードを保つべく新商品を展示した。パナソニックは,レンズ交換機として初めてタッチ・パネルを用いた「DMC-G2」を発表した(写真中央・上下)。「レンズ交換機を消費者が購入しない理由の一つは,操作が難しいこと。タッチ・パネルの採用でその壁を崩す」(同社)。

『日経エレクトロニクス』2010年4月5日号より一部掲載

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