「山田日登志のこれがムダなんや」は、生産現場におけるムダとりのコツをクイズ形式で学べるコラム。実在する工場で見つかったムダの写真から、そのどこにムダがあるかを見つけ出すことで「ムダとりの目」を養ってもらうことを狙う。

 今月号から、キヤノンやスタンレー電気の工場をカイゼン指導したことで知られる山田日登志氏を講師に迎え、ムダとりの基本を「誌上指導」してもらう。その方法とは、指導先工場で山田氏が実際に見つけたムダをクイズ形式で出題するというもの。答えを考えてからページをめくれば、山田氏の解説で答え合わせができる構成だ。

 最初の問題は、減速機付きモータなどを開発・設計・製造・販売するシグマー技研(本社三重県・東員町)から。山田氏は、2009年10月に同社の工場を初めて訪問し、一定期間使わない物(要らない物)を工場の外に出すよう命じた。要る物と要らない物が混在していると、要る物を探すのに時間がかかってしまうからだ。

 同社の生産スタッフは言われた通りにし、2010年2月に山田氏が再び訪れた時には見違えるほど物が減っていた。「雲泥の差やな」。山田氏がそう褒めた瞬間、彼の目に、上の写真のような光景が飛び込んできた。減速機付きモータの組立工程で使う部品を置いていた棚だ。

「これがムダなんや」

〔以下,日経ものづくり2010年4月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。