激変する中国。恐らく、その変化のスピードは多くの日本人技術者の想像を超えていると思います。
安い人件費を武器に、あらゆる国から資本を集めて工場が乱立したのは、もう一昔前の話。現在では、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の競争に勝ち残った、いわゆる「勝ち組」の工場が存在感を増しています。中には、日本の大手企業と遜色ない最新の設備や効率に優れる生産方法を導入している中国企業もあるのです。
にもかかわらず、依然多くの日本人は「とにかく中国で造りさえすれば安くなる」「どんな製品でも品質は日本製に比べて一段落ちる」と考えていたり、逆に「大きな工場を構える中国企業であれば品質は任せても大丈夫」「どんな製品であっても、生産だけではなく、部品調達も設計開発も何でも任せられる」などと判断したりしています。
実は、こうした評価に「嘘」はありません。どちらも正解であり、どちらも不正解であるといえるのです。個々の企業によって事情が違うことはもちろん、時間(時代)の変化と日本企業側の対応次第で正解と不正解が入れ替わる可能性があるからです。
このコラムでは、中国の「今」を素早くとらえ、日本企業がどのような対応を取るべきかについてヒントを提供していきたいと考えています。これにより、中国の発展を日本企業のビジネスチャンスにつなげることに、少しでもお役に立てれば幸いです。
〔以下,日経ものづくり2010年4月号に掲載〕
技術者兼海外進出コンサルタント