3次元CADを導入したが、なかなか開発プロセスの効率化が進まない──。そう悩んでいる企業は少なくない。この悩みは、新しい機能を持ったツールを導入したからといって解決するものではない。本コラムでは、3次元設計に取り組んではいるが十分な効果が得られていない企業のどこに問題があるかを分析し、その結果に応じた体質改善方法を選択できるスキルを伝授します。

 製品開発期間は一昔前に比べると劇的に短縮され、製品は多機能化・軽薄短小化し、ますます複雑化する傾向にある。これらを実現するため、3次元モデルをベースにした開発プロセスの構築に多くの企業が取り組んできた。3次元モデルによる表現は共通言語のような役割をし、直感的で分かりやすい。3次元モデルを最終工程まで生かすことにより、開発プロセス全体の効率化を果たせるのが導入企業の期待であり、ベンダーもそれを強調する。

 ところが,設計者からは、「図面だけではなく3次元モデルも作成しているから、以前よりも負荷が大きくなっている」「他人が作成した3次元モデルは修正しにくいので、結局、ゼロから描き直している」といった声を聞く。また、思ったように手戻り削減や品質向上に結び付いていないという話も多い。3次元設計を開始して初めて、さまざまな問題があることに気付くのだ。

〔以下,日経ものづくり2010年4月号に掲載〕

宮木邦宏(みやき・くにひろ)
O2 技術ディビジョン シニアコンサルタント
大手精密メーカー、3次元CADシステム・ソリューション・ベンダーを経て、O2(本社東京)へ参画。3次元CADシステムビジネスに黎明期から携わり、特に3次元生産プロセス改善では、常に業界をリードしながら手法開発およびシステム製品企画開発を行ってきた実績を持つ。O2では、これら27年に及ぶ経験を生かし、「3D-DPRM」の開発を主導する。
O2(http://www.o2o2.co.jp/)は、設計開発領域を専門とするプロ集団。業務プロセス改革から高度な技術課題解決までを総合支援。3D-DPRMなど独自の方法論を提唱し続ける。