産業技術総合研究所などは、500~650℃で動作する出力200W級の固体酸化物型燃料電池(SOFC)モジュールと、600~650℃で動作する出力30W級のSOFCモジュールを試作した(図1、2)。SOFCは通常、700~1000℃で動作するため、起動に数時間から数日かかるが、動作温度を下げることで数分での起動が可能となった。コージェネレーション・システムや自動車の補助動力装置(APU)への応用を想定している。実用化の時期は未定だが、実証研究には5年以内に着手できる可能性があるという。

 前者はパイプ状の発電セルを用いるもの。より低い温度での動作が可能な点が特徴である。これに対して、後者はハニカム状の発電セルを採用したもので、前者よりも部品点数が少なく、コストを抑えられる。

〔以下,日経ものづくり2010年4月号に掲載〕

図1●500~650℃動作の出力200W級SOFCモジュール(左)とパイプ状の発電セル(右)
200W級のSOFCモジュールでは、発電セルを並列に3本接続し、それらを直列に15段重ねたものを酸化マグネシウムで固めて1つのユニットとし、それを8つ組み込む。
図2●600~650℃動作の出力30W級SOFCモジュール(左)とハニカム状の発電セル(右)
30W級のSOFCモジュールでは、直径10mmほど(断面形状は円ではなく6角形)で長さが50mmのハニカム状発電セルを8ユニット組み込んでいる。