産業技術総合研究所は、日立金属、京都大学と共同で、AZ31合金などの汎用Mg(マグネシウム)合金板材の常温での成形性をAl(アルミニウム)合金並みに高める技術を開発した。冷間プレスができるため、低いコストでMg合金製部品を造ることができる。

 2010年1月下旬、日立金属の安来工場は幅300mm、厚さ0.5mmというAZ31B圧延材のサンプルを供給し始めた(図)。
 Mg合金は実用金属の中で最も軽く、比強度が高い。次世代の軽量構造材料として注目を集めており、鋳造品を中心にノート型PC、携帯電話機や自動車部品への利用が拡大している。
 一方、圧延材、押し出し材といった加工材の需要は限られている。Mgの国内需要は4.5万tと、Ti(チタン)の3.0万tをしのぐほどあるのだが、その多くは鋳造材やAl合金に入れる添加材。Mg加工材需要は0.1万tと少なく、Al圧延材の130万t、同押し出し材の80万tに遠く及ばないのはもちろん、Ti加工材の1.8万tよりもはるかに少ない(Tiだけが2005年、ほかは2008年のデータ)。

以下,『日経Automotive Technology』2010年5月号に掲載
図 新技術により作製した汎用Mg合金(AZ31B合金)圧延材
(a)コイル材、(b)シート材。板幅は300mm、板厚は0.5mm。