欧州自動車メーカーが電気自動車の開発に力を入れ始めた。特に目立つのがドイツのメーカー。Daimler 社はLi イオン2 次電池メーカーを設立。Volkswagen 社は2013 年までに3 車種を量産することを表明している。

 欧州で最近、電気自動車(EV)に関連する大きな動きがあった。2010年2月4日、フランスのSarkozy大統領とドイツのMerkel首相がパリで会談し、今後10年間で両国が相互に協力する具体的な目標80項目を発表した。その中にEVの共同研究が盛り込まれたのだ。フランスStrasbourg市とドイツStuttgart市周辺地域でEVの実証試験を実施し、充電器などのインフラを含めてEVの欧州標準規格化を進める。
 また2月9日、欧州連合(EU)加盟27カ国はスペインのSan Sebastian市でEU競争力理事会の非公式な会合を開き、EU域内においてEVを普及させる計画を推進することに基本合意した。EVの技術・インフラなどの標準化、欧州投資銀行(EIB)による研究開発の支援などの具体策について、2010年5月のEU競争力理事会において合意することを目指す。
 欧州の産業別研究開発フォーラムであるEuropean Technology Platform(ETP)も、乗用車のEV化ロードマップを示している。EV走行距離が50km以上のEVとPHEV(プラグインハイブリッド車)の導入フェーズを3段階に分け、2012年にごく少数の導入、2016年には累積で100万台規模、2020年には同500万台規模を目指す(詳細は日経Automotive Technology別冊の『電気自動車年鑑2010』を参照)。既に、ドイツ政府は2020年までに国内で累積100万台のEV、PHEVを普及させる計画を発表しており、EU全体にEV推進の機運が高まっている。
 個別のメーカーでは、フランスRenault社と日産自動車、フランスPSAPeugeot Citroenグループと三菱自動車の技術提携によるEVの量産計画が公表済み。今回はそのほかのメーカーの動向を取材するため、2月に開催された自動車用先進電池の国際会議「AABC Europe」、3月に開かれたジュネーブモータショーに参加した。

以下,『日経Automotive Technology』2010年5月号に掲載