クルマの電子化を支える車載ソフトウエア。ソフトウエアのソースコードは、多い場合で車両1台当たり1000万行に上り、開発の負荷は高まるばかり。この状況を解決するために、日本の車載ソフトウエア標準化団体であるJASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture)は2010年2月、車載ECU(電子制御ユニット)用の基本ソフトウエアを開発した。JASPAR運営委員長の畔柳滋氏は、これから量産車への導入が始まると意気込みを語る。

JASPAR 運営委員長(トヨタ自動車制御ソフトウェア開発部長) 畔柳 滋氏

 今回、JASPARとして基本ソフトの開発を終えたことで、今後は各自動車メーカーが開発の成果を持ち帰り、量産車への搭載を検討する段階に入る。
 ほかの自動車メーカーの今後の判断は分からないが、少なくともトヨタ自動車は基本ソフトの導入を始める計画だ。2010年に発売する車種では、ドアやシートなどボディ系のECUに基本ソフトを導入する。
 基本ソフトは、ECUのソフトウエアのうち通信プロトコルやプロセッサのドライバモジュールなど、各ECUに共通するソフトウエアを集めたもの。基本ソフトを導入すると、自動車メーカーや部品メーカーは、基本ソフトの上で動作するアプリケーションソフトの開発に専念できる。

以下,『日経Automotive Technology』2010年5月号に掲載