職場を導く管理者にとって大切な仕事は,メンバーが活躍できる環境を整えること。そのために,前向きに取り組むための仕掛けを施すことです。メンバーが仕事に着手したら,成果を出すまでじっと見守り,くじけそうなときには相談に乗って,再び挑戦できるように支えてあげる。解決が難しい問題に直面したときには共に悩み,一緒に知恵を絞って乗り越える。明らかに手を抜いたときには,成長を促すためにきちんと叱ることも必要です。ただし,決して怒ってはならない。こうしてメンバーの背中を押しながら,「人財」へと向かう階段を一段ずつ歩ませていく──。
何も言わなくても自ら動き,きちんと成果を出すメンバーは,管理者自らが育てなければ生まれてこない。そうした人財を育成することに粉骨砕身努めることが管理者にとって最も大切な仕事であると,これまで本コラムで説いてきました。
やりがいは大きいのですが,責任という重圧も管理者の両肩に乗ってきます。立派な管理者になってほしいがために,私も皆さんに少し厳しく言ったところがあるかもしれません。しかし,いつ何時も何においても深刻にとらえ,つらく考えてばかりいては肉体的にも精神的にも持たないでしょう。やはり,仕事は楽しくするに越したことはありません。仕事が厳しいのは当然として,少しでも楽しく取り組むコツを覚えて,次の挑戦への英気を養いましょう。
〔以下,日経ものづくり2010年3月号に掲載〕
HY人財育成研究所 所長