「メカトロ講座」は,茶運び人形の開発をテーマに,一連の作業を疑似体験することで,メカトロ機器の開発手法を体得できるように狙った企画です。補習編では「回路図は怖くない」をモットーに,概念設計編や詳細設計編で紹介してきた回路図の一部を取り上げ,回路図の基本的な見方について解説します。

 本コラムの最終回となる今回は,メカトロ機器で頻繁に使われるステッピングモータの駆動回路について解説する。

 ステッピングモータを駆動する際の一つの注意点は,ステッピングモータに加えるパルスの周波数が高くなるにつれて巻き線に電流が流れにくくなり,モータのトルクが低下することである。これは,モータの巻き線が電気抵抗のほかにインダクタンスの成分を持っているためである。

 高分解能のステッピングモータを高速運転する場合,加わるパルスは10kppsを超える。インダクタンスにはそうした電流の急激な変化を妨げようとする性質があることから,モータの巻き線に電流が流れにくくなる。

 その電流の流れにくさの目安となるのが,モータの電気的時定数τEである。

〔以下,日経ものづくり2010年3月号に掲載〕

大畠 覚(おおはた・さとし)
ラグビーセンサ 社長
専門分野はセンサ応用製品のシステム開発,組み込み機器の開発。東芝にてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems),計測機器,防犯カメラシステム商品の開発に従事していた経歴を持つ。