電子機器の製造/実装技術に関するアジア最大の展示会「ネプコン ジャパン2010」が,2010年1月20~22日に東京で開催された。注目を集めたのは,不況を乗り切るカギとなる低コスト化技術。高価なAuを使わないCuワイヤ技術,スループットを大幅に高めたスクリーン印刷装置,安価な樹脂を使った高出力LED向けの放熱基板,工程数を削減できる一括実装技術などの展示が相次いだ。

Au価格の上昇が続く
英国ロンドン市場のAuの現物相場の価格を示した。Auの価格が高騰したことで,AuワイヤからCuワイヤへの移行が加速している。1トロイオンスは31.1035gに相当する。(図:田中貴金属工業のデータを基に本誌が作成)

 「今,多くの顧客が求めているのは低コスト化技術。他の展示には目もくれない顧客すらいる」──。2010年1月に開かれた「ネプコン ジャパン2010」に出展したあるメーカーは,こう述べた。

 低コスト化技術に注目が集まる背景には,昨今の厳しい経済情勢がある。ネプコン ジャパンの出展社数自体,前回に比べると7%減の1141社だった。「長引く不況で,顧客の低コスト志向に拍車が掛かっている」と,ある印刷装置メーカーの説明員は言う。

 こうした状況を裏付けるように,今回のネプコン ジャパンでは高速・高密度の実装技術が相対的に影を潜め,低コストの実装技術に関する展示が目を引いた。高価なAuの使用量を減らせるパッケージ技術,Agを使わないCuペースト,常温で保管できるはんだ,LED向けの低コスト放熱技術,工程数を削減できる一括実装技術など,革新的な展示が相次いで登場した。

『日経エレクトロニクス』2010年2月22日号より一部掲載

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