危険を伴う行動や作業をするとき,危なさを感じたら逃げるのは,人間を含めた動物の本能である。危なさに気付かない場合には,“運悪く”ひどい目に遭うことになる。ただ,人間の気付きはあまり当てにならない。そこで,これを機械的に実現するのがセンサを使った安全装置である。

 こうした装置は,危険を検出して通報し,対応を促すものが多い。通報相手が危険源でもある機械設備ならば,エネルギを遮断するなどして人間に危害を及ぼさないようにする。この種の安全装置を「危険検出型」と呼ぶが,これだとセンサや情報伝達装置が故障した場合には警報が伝わらない。つまり,安全装置が故障すると危険な状態(危険側故障)になってしまう。

〔以下,日経ものづくり2010年2月号に掲載〕

向殿政男(むかいどの・まさお)
明治大学 理工学部情報科学科 教授
1942年生まれ。1965年明治大学工学部電気工学科卒業。1970年に工学博士(明治大学)。同大学工学部電気工学科専任講師,同電子通信工学科教授などを経て,1989年から現職(2002年10月~2008年9月は同大学理工学部長を兼務)。