2009年11月,米Maclaren USA社は,同社が製造・販売したベビーカーについて,開閉時に子供が指を挟む危険性があるとして米国でリコールを発表した。国内でも正規輸入元が米国と同様に修理キットの配布を始めたものの,並行輸入品は対象外。輸入品の安全をどう担保するかという大きな課題を投げ掛けることとなった。

 「使っている方は使用をやめてください」──。2009年11月11日,福島みずほ消費者担当相は,Maclaren USA(以下Maclaren)社製ベビーカーの一時的な使用自粛を呼びかけた。

 その前日,Maclaren社は,同社が製造・販売した折り畳み式ベビーカー「Maclaren Strollers」について,開閉時にヒンジ部で子供が指を挟むことによる切断・裂傷の恐れがあるとして,ヒンジ部をカバーする修理キット(ヒンジカバー)を無償配布すると米国で発表。米国消費者製品安全委員会(US Consumer Product SafetyCommission:CPSC)もその社告を受けて,注意喚起の情報を発表していた。福島消費者担当相の呼び掛けは,こうした動きを受けてのものだった。

 Maclaren社製のベビーカーは日本でも人気が高く,現在国内に30万台以上が流通していると推定される。日本では,正規輸入元である野村貿易(本社東京)が2009年11月11日に米国と同様の措置を取る方針を発表し,同月16日に経済産業省(経産省)にリコールを提出。米国と同様にヒンジカバーの無償配布の意志を示した。翌17日には専用のコールセンターを開設している(表)。対象となるのは,2002年から野村貿易が輸入・販売した22品種,約17万台である。

〔以下,日経ものづくり2010年2月号に掲載〕

表●事故対応の経緯
国(国土交通省)や港区が事故原因究明と再発防止に向けた取り組みを実施。限られた情報しか得られない中,考え得る原因への対応として安全装置の義務付けなど建築基準法の改正を実施した。