「実践モジュラーデザイン」は,売れる製品とバランスさせ,最適な部品数で利益構造を改善する「モジュラーデザイン(MD)」について,体系的・実践的に解説するコラムです。

 今回は,前回までのモジュール化活動の成果を実際の製品に確実に適用するために,社内に編集開発体制を構築する方法を述べる。編集開発とは,製品モデル〔第3回(2009年6月号)で確立〕で管理する客先製品仕様,社内製品仕様,製品システム構成,設計部品構成のマスタデータや既存製品の企画書,計画図,図面,部品,設計文書などを,編集的に利用または再使用しながら製品を効率的に開発する方法をいう。

 編集開発体制は,「統合編集開発システム」「設計インタフェース情報授受システム」および「自動設計システム」の三つのシステムで実現する。

統合編集開発システム

 統合編集開発システムとは,図に示すように,開発の各段階における設計へのインプット情報を基に,各種の設計根拠情報を参照しながら設計知識で編集的に処理して,各種の情報をアウトプットする統合的な製品開発システムをいう。

〔以下,日経ものづくり2010年2月号に掲載〕

図●統合編集開発システム
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日野三十四(ひの・さとし)
モノづくり経営研究所イマジン 所長,日本IBM 顧問
1968年に自動車メーカーに入社。1980年にトヨタ自動車のベンチマーキング開始。1988年にトヨタの部品共通化能力を超える手法を目指し,MDの研究を開始。2000年に経営コンサルタントとして独立。2002年に『トヨタ経営システムの研究』(ダイヤモンド社)を出版(韓,台,米,タイ,中,ブラジルで翻訳出版)。2003年に日本ナレッジ・マネジメント学会から研究賞受賞。2003年から日韓のメーカーにおいてMDをコンサルティング。2007年に“製造業のノーベル賞”といわれる米Shingo Prizeから研究賞受賞。2008年から日本IBM顧問。