写真:上重泰秀

 2009年秋に,クリーンルームを備えた新工場を横浜市で稼働させました。食品や医薬品/化粧品のパッケージ,家電量販店などに置いてあるタレントの等身大ポスターパネルなどの印刷/加工を手掛ける印刷紙器メーカーで,印刷/加工の全工程をクリーンルーム化したのは,我が社が初めてだと思います。

 一見,印刷とクリーンルームは結び付きませんよね。だって,たかが紙の箱。お客さんがそれを開けて中にある商品を出したら,ポイと捨てられてしまうだけですから。ところが,されど紙の箱なんです。

 実は,食品のパッケージであれば,中に入れられる食品と同じレベルの品質が要求される。従って,食品工場の厳しい品質基準に準じて製造し,髪の毛1本たりとも,チリ1個たりとも混入することが許されない。ここ数年,食の安全に対する意識が高まってきましたが,あの影響なんです。ただ,こうした傾向は食品だけに限りません。医薬品や化粧品なども同様で,最近はパッケージに厳格な衛生管理が要求されるようになってきています。
〔以下,日経ものづくり2010年2月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)

星野 匡(ほしの・ただし)
横浜リテラ 代表取締役社長
1959年11月生まれ。1981年写真製版事業を手掛けるスタープロセスを設立し,代表取締役に就任。1994年横浜リテラの前身である清水紙工の開発担当役員に就任。1997年社名変更のCI構築を担当。2001年横浜リテラ代表取締役に就任し,現在に至る。2004年には東京支社を開設し,現在は横浜商工会議所2号議員も務める。趣味のゴルフは,ハンディキャップ5の腕前。野球も,高校時代に甲子園を目指した本格派である。なお,横浜リテラの資本金は3000万円,年商38億円,従業員160人(2009年10月現在)。