日立製作所は、モータの効率を高めることを目的として、電磁鋼板の代わりにアモルファス金属をステータコアに使う試作機を製作した。アモルファス金属は、コアの透磁率が高く、鉄損は低くできるため、組み合わせる磁石は高価なネオジム系ではなく安価なフェライト磁石に置き換えられる。モータの効率は93%程度に高められた。
日立製作所は、モータの効率を高めることを目的に、新しいモータコア材料を開発した。通常使われている電磁鋼板(結晶)の代わりに、アモルファス金属(非結晶の鉄)をステータコアに使う(表)。モータのコアに、アモルファス金属を使用するのは業界で初めてである。
日立グループでは、電力伝送用の変圧器のコアにアモルファス金属を採用している。具体的には、日立金属製のアモルファス金属のコアを使い、日立産機システムが変圧器を製造している。今後は、産業用を手始めに、車載用モータも視野に検討する。
アモルファス金属は、電磁鋼板と比べて透磁率が高いほか、鉄損が低いという特徴を持つ。アモルファス金属に磁界を加えると、それまで内部でばらばらな方向を向いていた磁束が一定の向きにそろい、透磁率が高くなる。
従来の電磁鋼板は、結晶構造であり、磁界を加えてもアモルファス金属ほどは磁束の向きがそろわず、透磁率が低かった。一定のトルクや出力を出す場合に、透磁率が低いと多くの電流が必要になるが、透磁率が高いと少ない電流で済む。