課金や顧客管理などに強み
ISP関連企業には,課金や顧客管理などインターネット関連サービスに不可欠なシステムの運用ノウハウを持つ強みがある。主力のブロードバンド接続事業の飽和感がAndroid端末事業への参入の動機付けになっている。グラフは総務省調べ。

 「今日の発表は,インターネット接続事業者(ISP)が個人向けのネット端末の販売を手掛けるという新しい話題です」。

 ISP大手のNECビッグローブ 代表取締役 執行役員 社長の飯塚久夫氏は,2009年12月に開いた新規事業発表会を紅潮した表情で切り出した。同社は2010年に,無線LANや第3世代移動通信システム(3G)を使うデータ通信などによる,ネット接続を前提とした携帯型情報端末事業に乗りだす。米Google Inc.のソフトウエア・プラットフォーム「Android」を載せた端末を機器メーカーから調達し,自社のブロードバンド接続会員などに販売する。台湾Camangi Corp.に加え,親会社のNECが開発したAndroid端末を2010年中に投入する計画である。

 Android上で動作するアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)などを販売するWebサービス,いわゆる“アプリ・ストア”も独自に展開。2012年度末までにネット端末の利用者数を20万人に広げ,ソフトウエア販売やWebサービスを含めた関連事業で年間の売上高100億円を目指すと宣言した。

ケータイとPCの中間領域を狙う

 同様の取り組みに乗りだすのは,NECビッグローブだけではない。ISP関連企業を中心に,通信事業者がAndroid端末事業に参入する動きは2010年に相次ぐことになりそうである。

『日経エレクトロニクス』2010年1月11日号より一部掲載

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