ベルリンの壁崩壊20周年の各種記念イベントに沸くドイツ。同国は現在,再生可能エネルギーの導入に最も熱心な国の一つである。太陽電池や風力発電プラントなどが発電した電力を,一般の電気料金よりも高い固定価格で電力会社に買い取らせる制度「FIT」を最初に成功させた国としても有名だ。

 実際,ベルリンという,モスクワやサハリン並みの高緯度にある町でも,太陽電池パネルを屋根に設置している戸建て住宅が容易に見つかる。列車に乗れば,風力発電用の大型風車が線路沿いに並んでいるのが非常にありふれた風景になっている。

CO2を90年比で40%削減へ

 欧州連合(EU)は2008年12月,温室効果ガス排出量を1990年比で20%削減することや,再生可能エネルギーを全電力量の20%以上にすることを義務付ける法案に合意したが,これもドイツが主導したといえる。ドイツ自身は,バイオマス発電を含む再生可能エネルギーによる発電量の比率を,2020年までに全体の30%以上に増やし,温室効果ガスの排出量を1990年比で40%削減するという目標を挙げている。これは日本の民主党が掲げた「1990年比で25%削減」を大きく上回る目標だが,ドイツにおける2008年前後の報道の中には「我々は既に現時点で18~19%削減した。40%の目標まであと21~22%で,十分実現できる」といった記事がいくつも見つかる。

図1 EUは2020年までに「20×20×20」を義務化
EUが決めた2020年までの地球温暖化防止対策の3本柱を示した。

『日経エレクトロニクス』2009年12月14日号より一部掲載

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