2006年お正月の夜,私は秋田県と宮城県の県境にある鬼首温泉にいた。周りはお正月をスキー場で過ごす家族たち。だが私は,そんな楽しい雰囲気とは無縁の切羽詰まった状況にあった。事故に至る危険性があるFF式石油温風機がその原因だ。
全社の回収対策推進を任され,大阪で不眠不休の活動をしていたが,「実際にどんな所で使われているのか」「回収現場はどんな状況か」といった心配を感じていた。そして,商品が使われている現地を実際に確認したくて1月2日に鬼首温泉までやって来たのだった。
〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕
文化学院 理事長・校長(元松下電器産業 副社長)