中国Haier Electrical Appliances Co., Ltd.(海爾集団電器産業)は,冷蔵庫と洗濯機で世界第1位のシェアを握る。世界165カ国で製品を販売し,2008年度のグループ総売上高は1220億元(1元=15円換算で,1兆8300億円)に上る。ドイツLiebherr社の技術を導入して冷蔵庫の生産を開始したのは1984年。わずか25年間で急成長した白物王者に話を聞いた。(聞き手は大槻 智洋,宇野 麻由子=日経エレクトロニクス)

──2008年度に小型冷蔵庫でシェア1位を獲得するなど,日本でも存在感を増しています。成功の要因はどこにあるのでしょうか。

 三つの理由があると考えています。一つは,我々は世界で最大の冷蔵庫メーカーであること。冷蔵庫については中国だけではなく,世界中で我々はリーダーです。二つめは,60もの製造拠点を持っていること。半分は中国に,残り半分はパキスタン,インド,イタリア,米国など,世界中に分散しています。三つめは,我々が品質の高い基本機能と,競争的な価格が両立した製品を提案できている点です。これは,シンプルな冷蔵庫が欲しいというニーズに合致しています。

 中でも,世界中に生産拠点を持っていることの利点は大きい。具体的には,輸送コスト効率の向上と,製品のローカライズにおいて大きな効果を発揮します。冷蔵庫をコンテナで出荷すると,実は2/3は空気を運んでいることになります。顧客の近くで生産すると,効率を高められます。

 生産拠点の近くには,現地向けの製品を開発する研究開発部門とデザイン・センターを配置しています。素早く効果的に,各地の現地市場に向けて製品を開発し,生産できます。当社はグローバル企業ですが,ローカルに特化した製品作りに注力しています。現地の顧客の生活習慣を理解することが,成功には不可欠です。

『日経エレクトロニクス』2009年11月30日号より一部掲載

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