1980年代に世界を先導した日本の半導体産業は、今や公的資金を導入しても青息吐息の状態だ。その一方で、米Intel社は変わらぬ収益性を誇る。高度成長期以来、他を寄せつけなかった日本のエレクトロニクス産業も、軒並み討ち死にである。DVDプレーヤーから液晶パネルまで、携帯電話からカーナビまで、日本発の画期的製品で、日本企業は極めて低い世界シェアに甘んじている。その一方で、米Apple社は増収・増益の快進撃である。
なぜ、技術力で勝る日本企業が、事業で負けるのか。答えは簡単だ。世界の企業が繰り出す「勝つビジネスモデル」に追いつけていないからである。旧来の「先端技術を開発し、それを実装した良い製品を効率的に生産し、根性ある営業が売りまくる」という素朴なフルセット垂直統合型モデルはとうに陳腐化している。なのに、なぜか日本企業はこのモデルに固執しているように見える。
新しいビジネスモデルは多様だが、特に「Intel Inside」という、基幹部品が完成品を従属させるモデルは、今後の自動車産業を考えるうえで示唆に富む。Intel社は、かつて「すり合わせ型」だったパソコン製品において、中央演算部とその隣接領域を統合してMPUを構成した。
【研究者の視点】技術開発競争で勝ってもビジネスモデル開発競争で勝たなければ意味がない
東京大学特任教授(知的資産経営)、NPO法人産学連携推進機構理事長 妹尾堅一郎氏
以下,『日経Automotive Technology』2010年1月号に掲載
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