民主党の目玉公約の一つである「高速道路無料化」。その発案者が、野党時代の民主党で「次の内閣国土交通大臣」に任命され、現在は太陽経済の会代表理事を務める山﨑養世氏だ。無料化の本来の目的は地方経済の活性化にあると語る。そして事故ゼロ、CO2ゼロを実現できなければクルマに将来はないと説く。

太陽経済の会 代表理事 山﨑養世氏

 私が2002年に提案した「高速道路無料化」に、当時民主党党首だった菅直人氏が目をつけ、民主党のマニフェストに正式に採用されたのが2003年の11月である。私がこの政策を提案した原点は、日本の高速道路の多くが使われていない現状を、もったいないと思ったことだ。
 東京にいると気付かないが、日本の国土の8割はクルマなしでは生活できない地域だ。地方を元気にしなければ、日本は元気にならない。しかし、東京の首都高速道路は700円の均一料金なのに、地方の高速道路は1km当たり約25円の従量制だ。これは不公平ではないだろうか。高速道路が無料化されても都市への集中を加速するだけだという人がいるが、そんなことはない。クルマですぐに行けるところに安くて広い土地があるということになれば、そうした地域にショッピングモールやオフィス、ホテルなどの進出が増え、地域も活性化するはずだ。
 高速道路を無料化するのは地方のためだけではない。東京などの大都市圏ではこれから猛烈に高齢化が進む。しかし土地コストの高い大都市圏では必要な介護施設が確保できない。土地の安いところに人口を分散しなければ、東京は持たない。

以下,『日経Automotive Technology』2010年1月号に掲載