2009年10月にホンダが発売した新型「ステップワゴン」(図1)は、従来モデルの反省に立ち、5ナンバー・2.0Lクラス・全高1800mm以上のミニバンとしては最も広い室内空間を実現したのが特徴だ。

 従来モデルの3代目ステップワゴンは、その前の2代目ステップワゴンよりフロア高さを60mm下げた低床設計を採用することで、室内高を競合車種並みの1350mmにしつつ、2代目より全高を75mm下げ、スポーティーなデザインや、低い重心による高い操縦安定性を実現したのが特徴だった。女性がミニバンを運転する機会も増えていることから、「大きすぎて運転しにくいのでは」というイメージを軽減する狙いもあった。
 しかし、いざ発売してみるとミニバンユーザーは「いくら室内スペースは競合車に負けないと説明しても、全高の低い外観から、室内が狭いのではないかというイメージを持ってしまった」(開発担当者)という。
 こうしたイメージを払拭するため、新型ステップワゴンでは低いフロアはそのままに、全長4690×全幅1695×全高1815mm(前輪駆動仕様)、ホイールベース2855mmと、従来モデルに比べて全長を50mm、全高を45mm拡大した。加えてリアピラーを垂直方向に立てることで、室内長3095mm、室内高1395mmを実現し、それぞれ従来モデルより320mm、45mm拡大した(図2)。
 3列目までのすべてのシートで頭上空間を拡大し、同クラスのミニバンでは最も広い室内空間を実現した。それでも1815mmの全高は、競合する日産自動車「セレナ」やトヨタ自動車「ノア/ヴォクシー」に比べると25~35mm低い。「ホンダらしい走りは犠牲にしていない」(開発担当者)という。

以下,『日経Automotive Technology』2010年1月号に掲載
図1 ホンダの新型「ステップワゴン」
「大きくなったステップワゴン」をキャッチフレーズに、クラス最大の室内スペースを売り物にする。
図2 パッケージングの新旧比較
従来モデルに比べて全長を50mm、全高を45mm拡大した。加えてリアピラーを垂直方向に立てることで、室内長3095mm、室内高1395mmと、それぞれ従来モデルより320mm、45mm拡大した。