トヨタ自動車は2009年10月、5年ぶりにセダン「マークX」を全面改良した。従来オプションのサイドエアバッグやカーテンエアバッグを標準装備したものの、先代プラットフォームの流用やコストダウンで、基本価格は10万円低い238万円に設定している。直近の販売台数は月間1000台程度だったが、全面改良により月間3000台を見込む。
新型マークXは、先代よりもスポーティーな外観にしたほか、室内空間や荷室空間の広さや使い勝手を高めた。
デザイン面では、マークXの特徴である3連のヘッドランプやフロントグリルの「X」のエンブレムなどを継承する(図1)。ただし、全幅を拡大したことで外観はフェンダーが張り出したデザインにした。また、フロントピラーの付け根は80mm前に、リアピラーの付け根は30mmほど後退させたことで、車両上部は流れるような形状に仕上げている(図2)。
室内での快適性を高めるために、前席のシートの中心間距離は20mm広げた。またドアトリムを内側から見てえぐった形状としたことで、前後席ともにドアトリム間の距離は25mm拡大した。
ただし、前席の乗員をドア近くに配置すると、側面衝突時の危険性が増す。シートのサイドフレームで横方向の荷重を受け止め、中央の骨格に伝えるようにした。衝突の荷重を受けてもこのフレームが突っぱることで乗員空間を確保する。先代も同じ場所にサイドフレームを配置していたが、衝突の荷重を受け止めるようにはなっていない。
社内試験では、JNCAP(自動車アセスメント)の衝突安全性能は最高の六つ星で、歩行者頭部保護性能はレベル4(最高はレベル5)を想定する。2010年度からJNCAPで導入が検討されている歩行者脚部保護は、社内試験では最高レベルを達成したという。