携帯機器を2回充電できる
東芝が発売した外付け燃料電池は,USBで充電可能な携帯機器を充電できる。燃料1mL当たり1Whの発電が可能なことから,1回の充填で約14Wh分を発電できる。(写真:山西 英二)

 「実際に使ってもらわないと,良さは分かってもらえない」(東芝 ディスプレイ・部品材料統括 マイクロ燃料電池技師長の上野文雄氏)──。

 東芝は2009年10月末,ダイレクト・メタノール(DMFC)方式の燃料電池「Dynario(ディナリオ)」を限定3000台で発売した。2000年初頭から数々の携帯機器向け燃料電池の試作品を発表し続けた同社が,ついに市販化にこぎ着けた。同機種は,東芝の携帯電話機やパソコンなどの民生機器を手掛ける事業部ではなく,部品を手掛けるディスプレイ・部品材料統括が発売したことから,試験的な販売の要素を多く含んでいることが見て取れる。

量産ラインは設置済み

 実際,東芝では日本国内のみの限定的な発売とし,一般消費者の反応を確かめたいとしている。さらに,初めて世の中に出す商品ということから,アフターサービスに万全を期すため,同社の直販用Webサイト「Shop1048」を介して販売する。価格は2万9800円。値付けは「コストを積み増した結果」(上野氏)とする。燃料であるメタノール(濃度98±1. 5%)を補給する,専用の50mLの燃料ボトル(5本セットで3150円)も同時発売した。

『日経エレクトロニクス』2009年11月16日号より一部掲載

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