既に中国では年間1500万台以上の電動2輪車が生産されており、4輪車だけでなく小型の電動車両「LEV(Light Electric Vehicle)」も次世代の車両として注目されている。台湾はLEVの開発コンソーシアムを結成して新たな普及促進策を打ち出した。

 台湾最大の都市、台北。路上には排気量125cc前後のスクーターがあふれている。人口約2300万人の台湾では約1200万台の小型2輪車が保有されており、「世界で最もスクーター密度の高い国」と言われる。その台湾で2009年7月から「Eスクータープロモーション」が始まった。これは、電動2輪車の普及を促進する大プロジェクト。2012年12月まで実施し、普及台数の年間目標は2009年2万台、2010年3.5万台、2011年4.5万台、2012年6万台。合計16万台の普及を目指す。
 実は台湾では1998~2000年に、環境保護局による電動2輪車の普及計画があった。だが、鉛2次電池の耐久性、車両価格の高さなどが課題となり、計画は頓挫してしまった。対する今回は、台湾経済部(日本の経済産業省に相当)工業局の政策。主な目的は現地産業の活性化であり、ユーザーに対する購入補助金制度なども拡充する。
 電動2輪車は中国で急速に普及しているが、製造業者が乱立して充電インフラや2次電池の規格が統一されていない。台湾では、公的な研究機関が基礎技術を開発し、官主体でインフラの整備も実施する。さらに、欧米各国と連携して、2次電池の検査規格「BATSO」、充電インフラの標準プロトコル「e3」の策定を進めている。技術の標準化を図った上で車両を開発することで、台湾内での販売だけでなく、輸出による産業振興を狙う。

以下,『日経Automotive Technology』2009年11月号に掲載
台湾の工業技術研究院に並ぶ電動車両
充電ステーションには電動3輪車や電動2輪車が並ぶ。充電器は3輪用の電圧がDC48V、出力2kW。2輪用がAC110V、1kW。