「電気自動車で新たなモビリティ社会を築く」「自由で効率的な移動手段は都市の新しい魅力を創造する」――。2009年7月に開催されたカーエレクトロニクスの総合展示会「AT International 2009」(主催:日経BP社)の併設セミナー「フォーラム」ではハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動車両の将来が主要な話題となった(図)。

図 AT International 2009 フォーラム基調講演の様子
会場となった「パシフィコ横浜アネックスホール」には大勢の参加者が詰めかけた。

 開催初日である7月15日の基調講演では日産自動車常務の篠原稔氏が「“クルマの電動化がもたらすもの”~変わる技術、変わる社会~」と題して講演した。2010年秋から電気自動車(EV)の量産化を予定する日産自動車の戦略を説明した。
 日産はEV事業で、発売初年度から世界で5万台という大量生産・大量販売を目指している。
 同社がEVの商品化を決意した背景には電池の進化がある。同社は1992年から自動車用Liイオン2次電池の開発に取り組んでおり、2010年に商品化するEVに搭載するLiイオン2次電池は10年前の約2倍のエネルギ密度を実現しているという。
 ただし、EVを普及させるためには、車両の改良だけでなく、充電インフラの整備が不可欠になる。例えば神奈川県では現在23カ所の急速充電器が、2010年までに100カ所に拡大される予定。また普通充電器も現在の160カ所から2014年には1000カ所に増加する見通しである。これに加えて日産は、同社の販売店にも充電器を設置する計画だ。同社がEVの商品化を発表して以来、世界中からの反響が大きいのに驚かされたという。

以下,『日経Automotive Technology』2009年11月号に掲載