「早く景気が良くなってウチの業績が回復しないかなあ」「気前のいいお客さんでも見つかって大口の受注が来ないかな」…。誰ですか,そんなのんきなことを言っているのは? 冗談ならともかく,これが管理者を務める人の「本心からの言葉」だったら,聞き逃すことはできません。職場のメンバーを導くリーダーが他人の力や外部環境の好転に期待するだけでは,管理者失格です。
どれほど大きな企業であっても,会社は一つひとつの職場の集合体。各職場が前向きに進んでいかなければ,逆境に打ち勝つことなどできません。不況克服は,それぞれの職場の運営を任されたリーダーの手腕に大きくかかっているのです。
対立する部署間で「社内留学」
前回,リーダーに求められる資質について,二つ紹介しました。第1の資質として「プロジェクトはリーダー自らが強い信念と情熱をメンバーに示さなければ成功しないことを理解していること」,第2の資質として「プロジェクトを実行する上での動機付けを行い,メンバーをやる気にさせる仕掛けが必要であることをきちんと理解していること」──です。ここで理解を深めるために,後者について一つの事例をご紹介しましょう。
〔以下,日経ものづくり2009年10月号に掲載〕
HY人財育成研究所 所長