ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は,2009年9月に据置型の「プレイステーション 3」(PS3),10月(国内では11月)には携帯ゲーム機「PSP go」と,新機種を相次いで投入する。いずれも従来機より大幅に小型・軽量化されている。新機種を投入した狙いと実現技術,今後のゲーム事業の戦略などについて,同社の茶谷氏に話を聞いた。(聞き手は竹居 智久,根津 禎=日経エレクトロニクス)

(写真:加藤 康)

─新型のPS3と,PSP goが相次いで登場します。二つの新製品にSCEが込めた狙いを教えてください。

 プレイステーションのいわば「DNA」を踏襲したまま小型・軽量化し,より広いユーザーに受け入れられる製品を提供するのが,今回の新機種の狙いです。

 PS3は,今まではゲーム・ファンを中心に普及していました。今後は年齢性別を問わず,エンターテインメントを楽しむ層にアピールし,心をつかみたいと思っています。一方のPSPは既に,幅広いユーザー層に受け入れられています。ゲームだけではなく,例えばソニーのHDDレコーダーからPSPに映像をダウンロードして視聴するユーザーもいます。ネットワークによるゲーム配信も増えています。そうした状況を見て,ネットワーク接続を前提にした新しいモデルをPSPの仲間に加えることが可能なタイミングと判断しました。

 ゲーム機の寿命を10年と考えると,その半分が経過する前後が,プラットフォームに勢いをつける重要な時期になります。最初のPS3は2006年11月発売ですから,3年弱を経過した今がちょうどよいタイミングなのです。初代のプレイステーションやプレイステーション 2(PS2)でも,同じようなタイミングで小型化した製品を追加し,成功しています。

 例えばPS2の場合,発売から約4年後の2004年11月に小型機を発売しました。その結果,シニア層や女性層などにもユーザーが広がりました。今回の新型PS3でもそうなると予想しています。作り手側も,より広いユーザー層を意識したコンテンツを開発するでしょう。ユーザー層の広がりに伴い,楽しいゲーム・ソフトや面白いネットワーク・サービスが登場すると期待しています。そうなれば,良いスパイラルが起きます。

『日経エレクトロニクス』2009年10月5日号より一部掲載

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