デンソーは,デジタル家電のシステムLSIやセンサ回路用ICに向けた,高集積のA-D変換器を開発した。新規のアーキテクチャを採用することで,A-D 変換器で一般的に利用するオペアンプなどのアナログ回路を,一切利用せずに実現した。標準のCMOSプロセスで製造できるため,システムLSIなどに混載することで実装面積を大幅に削減できる可能性がある。
時間軸処理を採用
開発したA-D変換器は,時間分解能型アナログと呼ばれる手法を採用したもの。同手法は,アナログ信号を電圧振幅の大きさではなく,その時間幅の差異を計測して処理する
従来の電圧振幅型アナログ回路の場合,駆動電圧1V以下など電圧振幅が小さくなってくると,十分なダイナミックレンジを確保できなくなり精度が落ちてしまう。このため電圧振幅型には,製造プロセスの微細化(電源電圧の低下)を進めにくいという課題があった。