国民生活センターは,強化ガラス製の調理器具や食器の危険性に関して注意を促す文書を2009年7月22日付で発表した。割れにくくなるように表面の強度を高めた強化ガラスが,落としたりぶつけたりしたわけでもないのに,突然割れるという事故が相次いでいるからだ。強化ガラスの危険な一面が,きちんと消費者に伝わっていない可能性が高い。

 「調理中に鍋から外した鍋ぶたを台に置いたところ,鍋ぶたのガラス部分が粉々に割れてしまった」「作りたての料理を皿に盛り付けたら,爆発したような音がして皿が破裂した」─。いずれも,強化ガラス製の調理器具や食器を使っていた時の事故だ(図)。

 国民生活センターには,こうした事故の報告が調査を始めた1999年から2009年5月末までに鍋やフライパンのふたで54件,コップや皿などで42件,調理用ボールなどで15件の合計111件寄せられているという。同センターは2000年にも今回と同様の勧告を行ったが,事故件数はむしろ増加傾向にあることから,再度の注意喚起に踏み切った。

 同センターによれば,強化ガラスということをユーザーが認識せずに使っている場合が少なくないという。そのため,本当は強化ガラスの破損事故だが,一般的なガラスの破損事故として処理されているケースもあるとみられ,実際には事故件数がもっと多い可能性が高い。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

図●破損した強化ガラス製品
(a)は鍋ぶた,(b)は皿。いずれも落としたりぶつけたりしたのではなく,調理中や盛り付け中に突然割れた。