作成したビジネスプランに,さらに商品企画段階での検討を加えることで,競争力のある目標ができた。併せて,何種類かのマネジメント上の目標も作った。これで,製品は勝てる商品に,会社は競争力のある会社に脱皮できるはず…。と思いきや,この段階はまだまだ「捕らぬたぬきの皮算用」。本当の勝者になるためには,次の段階における「勝てる管理」が必要だ。
ただし,目標を作って走りだした段階というのは,ゴールまでの時間がたっぷりとある(実際には,最初からあたふたするが)。すると,つい「まだ大丈夫」と,緊張を先送りしてしまうもの。実際,この油断で私自身,何度失敗したことか。そして会社を,何度苦境に立たせたことか。収益を確保するために後追いの設計変更を実施し,余分なリソースを費やしてしまったり,為替の変動でいずれ円高に振れるのは分かっているのに,円安という追い風を受けてコストダウンの手が甘くなったり…。ついつい,問題を先送りし緩んでしまうのである。今回はまず,自動車開発に携わっていた私の失敗談からお話ししよう。
〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕
VPM技術研究所 所長