景気には浮き沈みがあります。企業の業績も常に右肩上がりというわけにはいかず,現実には調子が良いときも悪いときもあります。調子の良いときはもちろん,悪いときにはなおさら,職場を導くリーダーには役割をしっかりと果たすことが期待されます。現在のような大型の不況下でも,リーダーの手腕次第で競合他社よりも早く職場を回復軌道に戻し,不況から脱することが可能となります。
最近,第一線で働く社員はもとより,職場のリーダーを任されている管理者からも,「米国のサブプライムローン問題を端緒とした今回の世界同時不況は,どうにもならない」といった,あきらめの言葉がしばしば聞こえてきます。そう言いたい気持ちは分かります。確かに,世界最大の市場であり,あれほど旺盛な消費行動を見せていた米国市場に急激なブレーキがかかりました。頼みの新興国市場も,米国と歩調を合わせるかのように減速しました。好調なときには「品薄は困る」と言われ,増産したり,サービス体制を整えたりして必死で対応した。それなのに,急に「在庫が残って困る」と言われるのですから,もうお手上げだと思いたくもなるでしょう。
しかし,そんなことを愚痴っていても始まりません。こうした市場環境は,どの会社にも平等に与えられたものなのです。どんなに大型でも,明けない不況はありません。リーダーは職場運営をうまく行うためのコツを身に付け,不況からいち早く脱するようにメンバーを導かなければならないのです。そのために,もう一度,基本的なことから見直してみましょう。
〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕
HY人財育成研究所 所長