「メカトロ講座」は,茶運び人形の開発をテーマに,一連の作業を疑似体験することで,メカトロ機器の開発手法を体得できるように狙った企画です。

 詳細設計編の最終回となる今回は,装置の品質を確保する上で非常に重要な試験検査仕様書について解説する(表)。装置の品質は,出荷時に試験検査をしっかりと実施すれば維持できる。そう考える人は多い。だが,実際にそれが正しいといえるのは,試験検査の内容が適切な場合に限られる。

 そして,そうした適切な試験検査を実施するためのよりどころとなるのが,試験検査仕様書である。同仕様書は,装置が設計の意図通りに正しく製作されているかどうかを確認するための指示書である。試験検査の内容/方法(計測手段)や検査結果の良否を判断する基準を,これによって具体的に示す。設計部門が作成し,製造部門に渡すのが一般的で,提出時期は,出図の直後が好ましい。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

表●開発設計の各過程で必要となる検討項目
今回は,試験評価,保守の「試験検査内容の検討」について取り上げる。
【茶運び人形実行委員会プロフィール】
大島泰毅:大島設計事務所所長
専門分野は冶工具・自動化機械設計。東芝・生産技術研究所,東芝セラミックスで治工具,金型設計,製造設備の開発設計に従事。
井出川 洋:技術士(応用理学部門)
専門分野は計測,安全・PL(製造物責任)関連。東芝で分析装置,センサ,メカトロ装置,昇降機の開発設計に従事。
里中新一:電子機器メーカー勤務
専門分野は計測制御・電子回路。東京工業大学修士課程修了後,東芝にて計測制御機器の開発設計に従事。現在は電子機器メーカーで事業企画に携わる。
大畠 覚:ラグビーセンサ社長
専門分野はセンサ応用製品のシステム開発,組み込み機器の開発。東芝にてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems),計測機器,防犯カメラシステム商品の開発に従事。