ドリマックスは,野菜切断機を主力とする小型厨房機器,食品加工機のメーカーである。約70種類の商品群をそろえ,食品スーパーやコンビニエンスストア,外食チェーン向けに販売している。同社の野菜切断機の特徴は,食材の鮮度や風味を維持しながら高速加工を実現することだ。その代表的な製品例が,1996年に1号機を販売した卓上型の「マルチスライサー」である。

自転公転方式で野菜を切断

 それまでの野菜切断機は,回転する平刃カッタに野菜を一定の速度で押し当てながら切断するのが一般的だった。これだと加工中に食材がつぶれたり,切断面が粗くなったりするなどの問題があったという。

 これに対してマルチスライサーは,丸刃を採用し,それを高速回転させることで,プロの料理人の「引き切り」に近い切れ味を実現した。加えて,切断速度も従来機の約5倍にまで高めている。現在では,食材や用途,処理量に合わせて多くのバリエーションがあり,長ネギの輪切り専用機種であれば1分間に約10本,キャベツの千切りでは同約1.5玉に対応できる。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

野菜切断機の内部機構
2軸の歯車機構を採用している。写真は内部の機構が見えるようにしたカットモデル。