発光ダイオード(LED)を光源とする照明が,低消費電力で長寿命であることなどから徐々に市場へ浸透し始めた。中でも最近特に注目を集めているのが,白熱電球や電球型蛍光灯といった既存電球からの置き換えを狙う一般電球型のLED照明(以下,LED電球)である。LEDの寿命から計算する単位時間当たりの価格が既存電球と同等レベルになったため,一般家庭への普及が加速すると期待されている。

 低価格LED電球で先駆けとなったのはシャープである。同社は2009年6月11日,実売価格で4000円を切るという安さを目玉にLED電球市場への参入を表明。この価格設定は,当時販売されていたLED電球の約半額という大胆なものだ。LED電球を2009年3月に発売していた東芝ライテックも,シャープの発表から11日後の6月22日に,新規低価格品をシャープと同じ7月15日に発売すると発表。シャープの動きに素早く追従した。

下半分は放熱部品

 低価格化を進めながらも,低消費電力や長寿命といったLED電球本来の長所を失うわけにはいかない。さらに,製品として成立させるためには,高い放熱能力の確保が必要だった。

 LED電球が出す光は赤外線成分が少ない。このため,白熱電球や電球型蛍光灯などに比べて光が当たった部分の温度は上昇しにくい。しかし,LED自身は発熱しており,その対策は不可欠。許容温度を超えると発光効率が低下し,寿命にも悪影響を与えるからだ。

 LED電球の特徴的な外見は,放熱性を高めた結果といえる。横から見たときの下側半分以上を占めるのは,熱を周囲の空気へと逃がすヒートシンクだ(図)。東芝ライテックもシャープも,アルミニウム合金ダイカスト製のヒートシンクを採用する。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

図●低価格LED電球
東芝ライテックとシャープが相次いで,従来の約半額となる実売4000円以下の一般電球型のLED照明(LED電球)を発売した。発光効率の低下や寿命劣化を防ぐため,LEDが発する熱をいかに外へ逃がすかが重要。そのため,下半分はアルミニウム合金ダイカスト製のヒートシンクとなっている。