バイオマス由来の合成繊維(以下,バイオ合繊)の普及が進みそうだ。けん引役は,自動車メーカーである。

 中でも特にバイオ合繊の活用に積極的なのが,トヨタ自動車だ。同社は,「レクサス」ブランドのハイブリッド車「HS250h」のラゲージトリム(荷室の表皮材)に,バイオマス由来のポリ乳酸(PLA)を使った(図)。具体的には,石油由来のポリエチレン・テレフタレート(PET)とPLAを混合(質量比は7対3)した繊維から不織布を造り,ラゲージトリムとする。この不織布を製造しているのは東レで,トヨタ紡織が不織布からラゲージトリムを製造している。

 HS250hではPLA繊維と石油由来繊維を組み合わせたフロアマットも採用しており,HS250hの内装における「バイオマス由来部品」の面積比率は約30%に達したという。同社は,2009年中にこの面積比率を60%にまで拡大した車種を発売する目標を掲げており,今後はバイオ合繊の適用個所を室内空間全体に広げていくことになる。

〔以下,日経ものづくり2009年9月号に掲載〕

図●「HS250h」のラゲージトリム
PET/PLAのバイオ合繊製の不織布を採用した。