明電舎が,Liイオン・キャパシタを使った瞬低(瞬時電圧低下)・停電補償装置を開発した。電気2重層キャパシタ(EDLC:electric double layer capacitor)の「MEICAP」を製造・販売する同社が,競合ともいうべきLiイオン・キャパシタを外部調達した理由は,エネルギー密度の大きさにあった。

 同社は,かねてMEICAPを使った瞬低・停電補償装置を発売している。しかし,EDLCの質量当たりのエネルギー密度は一般に2~5Wh/kg程度で,補償時間は「頑張っても20秒が限界」(同社)という。EDLCで長い補償時間を確保しようとすると装置が巨大になり,価格も鉛蓄電池を使った無停電電源装置(UPS)以上となるため,通常10秒以上を補償したい場合はUPSを使っていた。ただし,UPSにはインバータの電力損失があり,ランニング・コストが高い。そこで,EDLCとUPSの間を埋めるデバイスとして目を付けたのが,EDLCの数倍のエネルギー密度を持つLiイオン・キャパシタというわけだ。

『日経エレクトロニクス』2009年8月10日号より一部掲載

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