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雑誌 インタビュー

難攻不落のハリウッドをいかに口説き落としたか

渡辺 健氏 CCC 会員サービス事業SBU TSUTAYA TV事業部 SVP

2009/08/06 16:00
 

DVDレンタル大手「TSUTAYA」は2008年末,視聴期間を限定しない「セルスルー配信」対応の動画ダウンロード・サービスを始めた。HD動画をBlu-ray Disc(BD)などに書き出せる世界初のサービスだ。米映画会社との交渉責任者が,舞台裏を語った。(聞き手は本誌副編集長 山田 剛良,高橋 史忠)

写真:加藤 康

 ハリウッドと交渉を始めたのは,2006年のことです。当初からストリーミング配信だけでなく,HD動画のセルスルー配信,かつHDDにダウンロードしたコンテンツをBDなどに書き出せる(Export)サービスを加えたいという条件を提示しました。これに映画会社が「ノー」の判断を下していたら,恐らくセルスルー配信のサービス開始は延期したでしょう。「書き出し」抜きでは,顧客にとって価値のないサービスになってしまう。

 セルスルー配信は,TSUTAYAが考える動画配信に欠かせないサービスの一つ。それが,たまたま世界で初めてのサービスだっただけですよ。 TSUTAYAの使命は,3277万人の登録会員「T会員」に映像を中心としたコンテンツを届けること。動画配信という新しい流通手法の活用は,我々にとって自然な流れでした。動画配信の市場は,今は小さい。でも,手を打たないで放置すると,他社がいずれ,TSUTAYAの既存ビジネスを脅かす存在に育ってしまうでしょう。

 なぜ,誰も手掛けていない「HD動画のセルスルー配信+書き出し」サービスにこだわったか。TSUTAYAがパッケージ事業を中心に展開するポイント・サービス「Tポイント」に,一つのヒントがある。レンタルなどの利用でたまるポイントは,提携先のガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどでも利用可能。生活に密着したポイント共栄圏を広げ,いつでもどこでも“TSUTAYA”のサービスを使ってもらえる環境を整える。このためには,「パッケージと同等のサービスを動画配信でも顧客に提供することが重要」と渡辺氏は話す。

 TSUTAYAのパッケージ事業には,大きく四つのサービスがあります。店舗でのレンタルと販売,そしてインターネットを使った宅配レンタルと通販です。

 このうち,店舗や宅配でのレンタルは,視聴期間を限定するVOD方式の動画配信が対応します。でも,これだけではパッケージを購入し,自分の手元で保管したい顧客のニーズを満たせません。それには,セルスルー配信が不可欠なのです。

『日経エレクトロニクス』2009年8月10日号より一部掲載

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