久井 信也
ソリューションサービス研究所

コミュニケーション力を身に付ければ,相手の立場や気持ちを理解し,プロジェクトを円滑に進めることができるようになります。今回は,実際にどういう場面でコミュニケーション力を駆使するかがテーマです。立ち上げ,計画,実行・コントロール,終結というプロジェクトの局面ごとに求められる行動を示し,それをコストとして計画に入れることについて解説します。コミュニケーションが苦手な人の特徴と,そういう人への対処法も説明します。(本誌)

プロジェクト・マネジメントとコミュニケーション力の位置付け

 電子機器は社会のあらゆる分野に普及し,生活やビジネスに密接にかかわるようになりました。電子機器の機能は高度になり,ネットワークを前提にしたハードウエアとソフトウエアの統合開発が増えています。

 このため,プロジェクトの規模はどんどん大きくなっており,関係者も増えています。関係者の目的や意思を統一し,調整しながら仕事を進める必要があります。ただし,この調整作業に手間取る技術者は少なくありません。

 プロジェクト活動には,さまざまな悩みがつきまといます。仕事の進め方や人間関係に苦手意識を持っている技術者は多いと思いますが,自分の能力を十分に発揮するためにも,プロジェクトを成功させるためにも,手際よく対処していく必要があります。

 この講座では,電子技術者が開発業務を円滑に進めるためのプロジェクト・マネジメント力と,それを支えるコミュニケーション力を解説します。プロジェクト・マネジメント力やコミュニケーション力を身に付けたいという電子技術者は多いのですが,学んだことがあり,現場で実践している人はまだ少ないでしょう。それぞれの関係を明確に理解し,“合わせ技”ができる技術者はもっと少ないと思います。ここでは,プロジェクト・マネジメント力とコミュニケーション力について,一人ひとりの技術者が現場で生かせるように丁寧に説明していきます。

『日経エレクトロニクス』2009年8月10日号より一部掲載


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