車載用2次電池で世界に勝つ

 「2次電池における日本の技術的優位性を維持したい」(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 燃料電池・水素技術開発部 蓄電技術開発室 室長の弓取修二氏)─。

 NEDOは,2009年度から開始するプロジェクト「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」の共同研究先として,京都大学を中心とする22法人から成るコンソーシアムを選定した。2030年以前の早期実用化を念頭に,現行の技術水準の3倍以上のエネルギー密度を備える2次電池の開発を目指す。プロジェクトは 7年で,総額210億円を投じる。

 2008年以降,米国やドイツが電動車両を早期に100万台導入する目標を相次いで掲げ,電池開発に対する多額な国家予算を計上し始めた。新興国でも中国が国家的な取り組みを表明し始めたほか,中国BYD Auto社などの自動車メーカーが独自のプラグイン・ハイブリッド車を発表し,「電池開発を取り巻く環境は激変している」(弓取氏)。電動車両向け2次電池の開発は,国家間の競争となっているのだ。

 こうした状況に対し,経済産業省は,「これまでの技術の改良を超えた,全く新しい発想や材料による革新的な蓄電池技術を模索するための基礎科学的な研究も必要」とする緊急提言を2008年9月25日にまとめた。この提言を受けて今回のプロジェクトでは「自動車メーカーや電池メーカー,材料メーカーをはじめ,大学や研究機関といったオールジャパンで一致団結して開発する」(弓取氏)という。

『日経エレクトロニクス』2009年7月27日号より一部掲載

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