欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 日産自動車と、乗用車および商用車のレンタカー事業で欧州大手のEuropcar社が電気自動車(EV)事業でパートナーシップを形成すると発表した。世界的な規模でゼロエミッションのモビリティを提供するためにEVのレンタカー事業に乗り出すというのである。
 このパートナーシップは、レンタカー市場におけるユニークな取り組みである。ニュースリリースによれば、この取り組みは「環境問題に対する顧客の、強い問題意識をサポートする」というEuropcar社のコミットメントを強めるものだという。EVの顧客への貸し出しは、2010年からイタリア、ポルトガル、フランス、ドイツ、ベルギー、スペイン、英国で始まり、その後ほかの国にも広げていく予定だ。
 クルマの「電動化」への移行は欧州でも進んでいるが、それがどのように進んでいくかはまだ不確定な要素が多い。フランスRenault社のような大手完成車メーカーでも、今後の展開を予測することにおいて非常に慎重である。その主な理由は、効率的なバッテリの供給能力に制約があることと、充電インフラが不足していることだ。

以下,『日経Automotive Technology』2009年9月号に掲載