世界的に競争が激化した時代に製造業として生き残っていくためには,やはり,これまで以上に優れた新技術の開発が不可欠です。新技術の開発により,お客様に心から満足していただける付加価値を製品に与える。このことを常に意識して実践し続けて,お客様から本当に必要とされる企業にならなければ,世界に数多く存在する競合企業の中で繰り広げられる厳しい生存競争を生き延びることはできません。
「そんなことは分かっている」という声が,日本企業のあちこちから聞こえてきそうです。しかし,本当に皆が理解しており,職場で当たり前のように根付いているでしょうか。残念ながら,多くの日本企業を見ると,頭では理解しているけれども,いまひとつ実践が伴っていないという場合が多いような気がしてなりません。
では,ここで質問させてください。あなたの会社や職場では,新技術を開発するために,何が有効であるかを考えたことがありますか? また,それを実行に移していますか? 会社の要であり,職場を正しく導くことを求められる管理者にとって,新技術の開発の業務がうまく進む仕組みや環境をメンバーに対して用意することは,大切な仕事の一つです。そのことを軽視し,新技術の開発業務をメンバー個人の能力や頑張りに期待するだけでは,管理者として十分な役割を果たしているとは言えないと思います。
〔以下,日経ものづくり2009年7月号に掲載〕
HY人財育成研究所 所長