冷却機構を1/3に

 トヨタ自動車の3代目「プリウス」のハイブリッド・システム「新THS II」は,従来型と比べて質量は17%軽く,体積は13%小さくなっている。ハイブリッド・システムの電力を制御するパワー・コントロール・ユニット(PCU)も,従来型に比べて質量は36%軽く,かつ体積は37%小さい。このPCUの小型・軽量化に貢献したのが,豊田自動織機が開発した冷却機構である。従来型と比べて大きさは約1/3と,大幅に小型化した。

 新THS IIのPCUは,パワー・モジュールのスイッチング素子としてIGBT(isolated gate bipolar transistor)を利用している。高電圧を印加して大電流を流すため,IGBTといったパワー半導体素子の発熱量は大きく,冷却機構は欠かせない。

 今回,冷却効率向上とコスト低減を実現するために,冷却構造を簡素化した。具体的には,(1)伝導性絶縁基板(DBA基板)とAl製ヒートシンクの間に配置していたヒートスプレッダ,(2)このヒートスプレッダとヒートシンクの密着性を高めて熱伝導性を上げるために塗布していたシリコーン・グリス,という2種類の部材を省いた。

『日経エレクトロニクス』2009年6月29 日号より一部掲載

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