「メモリ液晶」を背面ディスプレイに搭載

 シャープが手掛けるソフトバンクモバイルの2009年夏モデル向けの携帯電話機「mirumo 934SH」。この機種の特徴の一つが,背面ディスプレイに「メモリ液晶」と呼ぶ,低消費電力化を図った反射型のモノクロ液晶パネルを搭載する点である。ここに,時計や天気予報,受信メールなど,ソフトバンクモバイルが用意した約30種類のコンテンツを常時表示できる。

3型で精細度も高い

 メモリ液晶は,TFT基板上の各画素に,SRAMやDRAMなどのメモリ回路を集積したもの。メモリ回路に画像データを記憶することで,省電力化を図れる。ただし,SRAMやDRAMは揮発性メモリであるため,同一画像を表示し続ける場合,一定の間隔で画像データを書き換える必要がある。

 現行の携帯電話機の背面ディスプレイは,多くが1型程度のモノクロ有機ELパネルを搭載している。モノクロ有機ELパネルは消費電力が50mW程度と高い上,有機EL素子の劣化により輝度が低下する欠点がある。このため,画像を表示する時間は10~15秒程度と短く,934SHのようにコンテンツを常時表示できない。

 今回,シャープが934SHに搭載するメモリ液晶は自社開発品で,画面寸法が3.0型,画素数は456×240。モノクロ有機ELパネルを使った背面ディスプレイに比べて,画面寸法は大きく精細度も高い。しかも,消費電力は圧倒的に低い。具体的な消費電力の数値は非公開としながらも,同社の従来端末「831SH」の背面ディスプレイに搭載する「0.8型のモノクロ有機ELパネルに比べて約1/500」(同社)とする。このため,「情報を常時表示しても,携帯電話機全体の消費電力にほとんど影響はない」(同社)という。

『日経エレクトロニクス』2009年6月15日号より一部掲載

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